まずは、ようこそ。
熱い思いを持って来られた先生や、気づいたらここに流れ着いていたという先生など、様々な方がいらっしゃるかと思います。
この業界は職場によって雰囲気がかなり異なります。個別なのか集団なのか、送迎はあるのか、規模はどの程度なのか、どのような方針で関わり方の根拠は何なのか……。また、対象者の障害の有無や程度、障害種別、年齢なども様々かと思います。
ここでは、どのような職場で働くことになっても共通して言える、私が大切だと考えている4つのことをお伝えします。
先生自身の健康を保つこと
まずはこれです。余裕を持って質の良い支援を提供するためにも、先生自身の健康を保つことはとても大切です。自分の健康を犠牲にして子どものために働くのは長続きしません。
頭も体も常に動かし続けるこの仕事は、とてもエネルギーを使います。せっかくこの業界に入ったのですから、長く障害児者に関わってほしいと思います。
しっかり寝る、なるべくバランスの良い食事を意識する、忙しくても水分を摂ってお手洗いに行く。これが基本だと私は思います。膀胱炎になる先生は少なくない印象です。
あとは、時期によっては多少仕方のないところもあるかと思いますが、基本的に持ち帰り仕事をせず、仕事とプライベートをしっかり分ける。
人一倍体力があるなら残業や持ち帰り仕事の多い体育会系のところで続けても良いですが、調子がくずれるようなら基本的には転職したほうが良いと思います。努力で環境が変わるならもちろん変える努力をしても良いのですが、既にその職場の雰囲気ができていると思うので、個人的には転職が手っ取り早いかと。
あなたを求めている職場は他にもたくさんあります。どうかご自身の健康を大切にしてください。
対象者の権利を守ること
関係する法律の概要を理解し、守りましょう。
子どもの権利条約、児童福祉法、児童虐待防止法、障害者虐待防止法、障害者総合支援法、障害者差別解消法、発達障害者支援法……
関係する法律はまだまだありますが、上記のものはざっくりとでも押さえておきたいですね。
「学校で聞いたなあ」「試験勉強の時に一度は覚えたんだけど」という先生もいらっしゃるかと思います。難しいことが書いてありますが、ぜひもう一度目を通してみてください。基本的であり、大切なことが書いてあります。
「人権」を意識してください。
研鑽を積むこと
技術や感覚も大切であり経験も役に立ちます。ただ、やはり根拠を持って支援をするためには、知識が必須だと私は考えています。はじめのうちはどんどん研修に参加したり書籍を読んだりして、インプットしていってください。気になったことは良き先輩に質問してください。
しかし、それはわかっていて「さあやるか」と意気込んだものの、何の研修から受けようか、どの本を読めば良いのかと、迷われた経験がある先生は多いのではないかと思います。療育には古いものから新しいものまで、様々な理論、技法があり、迷われるのは当然です。
あなたの職場で、この理論を学んでくださいと言われたら、まずはそれを学ぶのもよいでしょう。ただ、一般的な理論から外れたものをベースにしている事業所もあるので注意が必要です。違和感を覚えたら少し調べてみてください。
もし特に何も言われていないようなら、まずは「ABA(応用行動分析)」というものについて学ぶと間違いないです。正しく理解して活用できれば、療育の場面ではかなり有用です。
他にはよく聞くものとして、
感覚統合療法、ペアレントトレーニング、TEACCH(ティーチ)、SST(ソーシャルスキルズトレーニング)、PECS(ぺクス)
などがあると思います。良いとされるものはまだありますが、比較的よく見かける上記のものについては誤解せず正しく理解しておきたいところです。
療育に携わっていると、難しいケースが多々あります。早いうちから正しく学んで考える習慣ができていると、根拠に基づく支援の組み立てが自然にでき、より良い支援ができるようになっていくと私は思います。
他の先生と良好な関係を築くこと
別に友達になる必要はなく、媚を売る必要もないのですが、気になったことを伝えたり質問したりできる関係性は大事です。先生方の中で、資格の有無や職種、経験年数などは人それぞれだと思いますが、お互い尊重し合えると良いですね。
支援は優秀な先生がひとりでするものではなく、複数人でするものです。普段からアイコンタクトやちょっとした一言で連携ができると、支援がとてもやりやすくなり、子どものためにもなります。意見交換をすることで良いアイデアが出ることも多々あります。
あなたより長く支援をしてきた先輩は、より多くの知識や技術、成功や失敗の経験を持っているはずです。しっかり意見を聞いてください。ただし、一部、間違ったことを根拠なく言う先輩もいます。違和感があったら自分で調べてみてください。それも学びになります。あまりにもという場合は、上司や別の部署など然るべきところに相談してください。
また、当たり前ですが、職場のルールは守りましょう。掃除や書類関係など、自分の思っているやり方とは違うかもしれませんが、理由があってできたルールです。おかしいと思ったら、いったん守りつつ、先輩に穏やかに相談してみてください。意外と先輩も変えたがっているものかもしれません。
まとめ
・先生自身の健康を保つこと
・対象者の権利を守ること
・研鑽を積むこと
・他の先生と良好な関係を築くこと
まとまりがなく、ずれていった部分もあるような気がしますが、以上が、私が特に大切だと考えていることです。もちろんこれだけで療育ができるわけではありませんが、初めて療育に携わる先生の参考になれば幸いです。
あくまで私個人の意見であり、他にも人によって様々な考え方があると思います。療育に携わるうえで何が大切だと考えているか、ぜひ職場の先生方にも聞いてみてください。
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