療育の初学者ですという先生にお薦めの本

今回は、療育の仕事は初めてですという先生や、発達支援で困っていることがあるけど何かわかりやすい本はないかなという先生にお薦めの本を紹介します。もし気になったものがあれば、通販や書店、図書館等でどうぞ。

一応、画像や書誌情報を押したらAmazonに飛ぶようにしてあります(Amazonに新品がないものは出版社へのリンクを張っています)。私への収益の発生は特にないです。

お薦めする本は私の独断と偏見により選びました。職場の方針や対象のお子様に合ったものがあれば、そちらをお読みください。

読む本を決められないよという先生は、『育てにくい子にはわけがある 感覚統合が教えてくれたもの (子育てと健康シリーズ 25)』木村順著(大月書店)でいきましょう。

「文字が多いのはちょっと……」という先生に(4冊)

感覚統合というものが初めての先生でも、理解しやすい本です。回転いすを使ったグルグル遊びやブランコを使った数当てクイズなど、15の遊びについて、ねらいや効果が載っています。はじめはアレンジせずそのまま使ってみても。

1冊100ページ弱で文字は少なめ。3冊シリーズなので、セットで買っても良いのですが、まず1を読んで、それから決めたら良いかと。ちなみに、2は「読み書き遊び・コミュニケーション遊び」で、3は「指遊び・手遊び・腕遊び」です。

『発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1』木村順監修(講談社)

色合いがかわいい。前半には感覚統合や発達について簡単に書かれていて、後半には活動の例が挙げられています。活動ごとに作業療法士のわかりやすいコメントも付いています。保育の観点と作業療法の観点の折衷というかんじです。

感覚統合についてある程度知っているという先生には物足りないところもあるかもしれませんが、わかりやすく書かれているので、他の先生に紹介しやすい本だと思います。試しに読んでみても。

『乳幼児期の感覚統合遊び』加藤寿宏監修 高畑脩平・田中佳子・大久保めぐみ編著(クリエイツかもがわ)

事例が載っています。子どもによって違うので個々に考える必要はありますが、ひとつの例として読んでみても良いかと。

ことばの基礎知識について学べるだけでなく、文字がマス目に収まらない、友達とのトラブルが多い、早食いをしている等、よく見る事例について支援のポイントが書かれています。タイトルの通り、学校場面を想定されて書かれている部分が多いので、学校の先生や放課後等デイサービスの先生におすすめです。

『学校でできる言語・コミュニケーション発達支援入門:事例から学ぶことばを引き出すコツ』池田泰子編著 松田輝美・菊池明子著(学苑社)

2021年から季刊で始まり、現在は2ヶ月に1回刊行されています。発達支援についてある程度学ばれている先生には簡単かもしれませんが、自分の職場以外のことや最新の制度を知る良い機会になるかと。

保育雑誌PriPriの発達支援版なので、幼稚園や保育所などで働かれている、働かれていた先生には、馴染みが合って読みやすい構成だと思います。

PriPriのサイトに最新号・既刊号が載っていますので、気になるものを見つけてみてください。例えば、2024 2・3月号には、「気になる行動の多角的な捉え方」や「困り方に困っている子ども」等についての特集が載っています。

『PriPriパレット 2024 2・3月』PriPriパレット編集部編集(世界文化社)

「文字が多くても読みやすければ大丈夫」という先生に(3冊)

かわいいイラスト付き。これで1980円は絶対に安いです。ぜひ手元においてほしいと思います。筆記具の持ち方の発達についてわかりやすく書かれている部分が、私の周りでは評価が高かったです。正しく持てないからといってとりあえず正しい持ち方をさせるのってどうなんだろう、なんていう悩みは解決するかと。本当にわかりやすく書かれていて、作業療法の観点があまりない先生でも、生活動作についてしっかり学べます。

『発達が気になる子へのスモールステップではじめる生活動作の教え方』鴨下賢一著(中央法規)

子どもの気になる言動について、なぜそのような言動をするのか、大人はどのように関わると良いのか、環境設定はどうすれば良いのか。それを考えるためのヒントがたくさん載っています。もちろん答えも。

「夜、なかなか寝てくれません」「気持ちを切り替えられません」「トイレにタイミングよく行けません」等、保護者の方からよく相談されるようなテーマについて、ひとつずつ丁寧に触れられています。気になる言動への対応で困られている先生におすすめ。

『イラスト図解 発達障害の子どもの生活の工夫と伸ばす言葉がけ』田中康雄監修(西東社)

写真の子ども達がかわいい。

初版は1994年と、わりと前の本ですが、現在にも通ずる大切なことが書かれています。著者の文から感じる子どもに対する温かいまなざしをぜひ感じていただきたい。読者もほっこり温かい気持ちになります。上下巻ありますが、あまり気にせず、とりあえず上を読んでください。

「発達」を何らかの能力の獲得と浅く捉えるのではなく、もっと深く積み重ねているものだと理解できるようになります。古いからといって読まないのはもったいない良書です。それと、写真がかわいいです。

『発達の扉 上(子どもの発達の道すじ)』白石正久文・写真(かもがわ出版)

「文字が多くても問題ない」という先生に(2冊)

200ページほどなので読めるかと。先生としての在り方を考えさせられます。

この記事を書いた時点では、Amazonや楽天、その他書店で新品を見つけられませんでした。気になられた先生は、Amazonの中古やメルカリ(できれば公式での購入がおすすめですが、無いなら仕方ない……)、図書館などを探してみてください。リンクは出版社に飛びます。

ぜひ一度はお読みいただきたい。そして「裏づけのある実践」を重ねてから再度読んでもはっとするので、ぜひ手元に置いていただきたい。

『実践家[教師・保育者・支援者]へのメッセージ 発達支援実践講座:支援ハウツーの編み出し方』木村順著(学苑社)

ぜひ読んでいただきたい。挿絵も入りつつ文字メインですが、参考書という感じではなく読み物感覚で読めます。事例も交えながらわかりやすく書いてあります。1650円と購入しやすい価格で、図書館にも置いてあることが多い気がするのでお手に取りやすいかと。地域の図書館で検索してみてください。

「育てにくい」子どもの状態を、脳の配線回路にトラブルが生じて様々な行動に繋がっていると捉え、感覚統合の観点から説明します。子どもの行動を見たときに、理由を考えてアプローチしていく姿勢が身につきます。

『育てにくい子にはわけがある 感覚統合が教えてくれたもの (子育てと健康シリーズ 25)』木村順著(大月書店)

まとめ

他にも良い本がたくさんあるのですが、今回は初学者を想定して、私の好みで思いついた数冊をご紹介しました。こうして見ると、感覚統合の本が多めですね。偏ってしまいました。他にも、ABAやTEACCH、SST、ムーブメント、インリアル等、読んでいただきたい本は様々あるのですが……。そのあたりもいつかまとめます。いつか……。

もしも今回「良いかも」と思ってくださったものがあれば、まずは1冊お手に取り、その中の1ページでも1文でも、負担にならない範囲で読んでみてください。

きっと先生の支えとなり、明日から関わる子ども達のためにもなることでしょう。

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